Netflix新作『匿名の恋人たち』の脚本・監督は誰?月川翔×岡田惠和の実力に注目

ドラマ

2025年秋、Netflixで配信が始まった日韓合同制作ドラマ『匿名の恋人たち』。

繊細な心の機微を描いたラブストーリーの裏側には、映画『君の膵臓をたべたい』の月川翔監督と、数々の名作を生んだ脚本家・岡田惠和のタッグが光ります。

本記事では、二人の経歴や代表作から本作での演出・脚本の魅力、さらに日韓合同による演出陣の特徴まで徹底解説します。

この記事を読むとわかること

  • 月川翔監督と岡田惠和脚本の代表作と作風
  • 『匿名の恋人たち』での演出と脚本の工夫
  • 日韓合同制作による映像美とOSTの魅力

月川翔とは?心を描く映像作家の経歴と魅力

月川翔は、日本の映画・ドラマ界において“感情を映像で語る”ことで高く評価されている若手監督の一人です。

彼が最も注目されたのは、住野よる原作の青春映画『君の膵臓をたべたい』(2017年)で、その映像美と繊細な演出は多くの映画ファンの心を打ちました。

その後も『今夜、世界からこの恋が消えても』や『君は月夜に光り輝く』など、若者の儚さや痛み、言葉にできない想いを丁寧に映像化する作品を多く手がけてきました。

『匿名の恋人たち』での演出手法

本作『匿名の恋人たち』においても、月川翔の得意とする「沈黙」や「距離感」を活かした演出が際立っています。

主人公・壮亮は人に触れられない潔癖症、ヒロイン・ハナは人の目を見られない視線恐怖症という設定のもと、2人の“近づけない心の距離”を画面の構図や照明、間合いで表現しています。

特に印象的なのは、物理的な接触がないまま心が近づいていく過程を、空間や静寂を用いて語る演出です。

日韓合同制作での挑戦

『匿名の恋人たち』は、韓国との合同制作という新しい挑戦でもありました。

月川翔はその中で、日本的な“間”の美学と、韓国的な感情表現の豊かさを融合させる演出に挑戦。

日本的な抑制された感情描写と、韓国スタッフによるダイナミックな映像と音楽がぶつかり合いながら調和していく様は、まさに“国際的な恋愛ドラマ”の進化形といえるでしょう。

脚本家・岡田惠和の世界観と“やさしさの言葉”

岡田惠和は、「日常を丁寧に描く」ことに定評のある、日本を代表する脚本家の一人です。

朝ドラ『ひよっこ』や『ちゅらさん』をはじめ、映画『いま、会いにゆきます』、ドラマ『ビーチボーイズ』『最後から二番目の恋』など、幅広いジャンルで人間の“弱さ”と“希望”を描いてきました

彼の脚本の最大の魅力は、ありふれた言葉の中に、心に刺さる“優しさ”が込められていることです。

“普通の人”の感情に光をあてる

岡田脚本の特徴は、特別な人間ではなく、どこにでもいそうな“普通の人”を丁寧に描くこと。

今回の『匿名の恋人たち』でも、壮亮やハナのような“何かしらの不器用さ”を持つキャラクターが登場し、その心の奥底を掘り下げていく構造が展開されています。

恋に臆病になってしまう人、他人と距離を取ってしまう人にとって、自分を重ねやすいキャラクター描写が、本作の感情的な共感を呼ぶ要素となっています。

セリフに宿る“生きた感情”

岡田作品のセリフは決して大げさではなく、むしろ淡々とした口調や、無言の行間に感情が宿るという特徴があります。

『匿名の恋人たち』においても、登場人物の語る一言一言が、視聴者の心にじんわり染み入るような構成になっています。

「言えないけど、伝えたい」――そんな繊細な感情を、台詞と沈黙で描き分ける脚本力が光ります。

なぜこのタッグが実現?『匿名の恋人たち』制作背景

『匿名の恋人たち』は、フランス映画『不機嫌な恋人たち(Les Emotifs anonymes)』を原案に、日本と韓国で共同リメイクされた意欲作です。

原作の持つ繊細で静かな恋愛感情の描写が、日本的な情緒と非常に相性が良く、岡田惠和の脚本と月川翔の演出スタイルにマッチしていることから、両者の起用が決定しました。

原作の“心の奥に触れる恋”というテーマに、日本と韓国の文化的視点を融合させることで、新しいラブストーリーの形が生まれたのです。

Netflixオリジナル作品としての挑戦

本作はNetflixのグローバル戦略の一環として制作された、完全オリジナルの日韓合作ドラマです。

韓国サイドからは、制作会社SLL(旧JTBCスタジオ)が参加し、美術・音楽・編集なども国際チームで構成。

国際色豊かな背景を持つこの作品では、「言葉を越える感情表現」が一つのテーマとして掲げられており、その実現のために、月川×岡田という最強の日本チームが起用されました。

赤西仁の参加とグローバル展開

また、俳優として世界展開を志す赤西仁のキャスティングも、このプロジェクトの国際的意義を象徴しています。

“グローバルに通じる普遍的な愛のかたち”を、日本的なやわらかさで描くという目的のもと、キャスト・スタッフともに国際水準の顔ぶれがそろいました。

演出面の見どころ|映像と感情の融合

『匿名の恋人たち』では、感情をセリフではなく“映像で語る”演出が際立っています。

月川翔監督の代表作でも見られる「間」「沈黙」「構図」による心理描写が、本作ではさらに洗練され、主人公たちの“触れられない恋”の切なさを強く印象づけます。

とくに、登場人物の視線や立ち位置、光と影の使い方に細かな演出意図が感じられ、見るたびに新たな発見があります。

触れられない男女の“間”をどう映すか

主人公・藤原壮亮(小栗旬)は潔癖症で他人に触れられない、ヒロイン・ハナ(ハン・ヒョジュ)は視線恐怖症で人の目を見られないという設定。

この“物理的な距離”を、カメラの距離や構図、背景の奥行きによって表現することで、視聴者自身が彼らの孤独と葛藤を体感できる構造になっています。

また、会話がなくても「間」や「沈黙」が感情の起伏を伝えるシーンが多く、演出の美学が物語と高次元で融合しています。

チョコレートとカウンセリングの象徴性

壮亮が働く製菓会社「藤原製菓」、ハナが務めるチョコレート店「ル・プランタン」、そして2人をつなぐカウンセリングルーム。

これらの舞台装置もすべて、心を開く・癒す・つながるというキーワードに直結しています。

チョコレートは、“触れられない代わりに想いを届ける手段”として機能し、カウンセリングは2人の本音と向き合う場として演出されています。

それぞれの空間に意味があり、感情の変化を物語るツールとして視覚的にも活用されている点は、映像演出として非常に高く評価されています。

脚本面の魅力|岡田節が活きる繊細な心の描写

『匿名の恋人たち』における脚本は、岡田惠和の真骨頂ともいえる“静かで深い感情描写”が随所に見られます。

セリフに頼りすぎず、行動や表情、沈黙の中に感情を宿す脚本構成は、まさに“岡田節”。

視聴者が登場人物の心理を想像しながら物語に入り込める作りになっており、心に静かに染み入る余韻が残ります。

“不器用な心”に共感する視点

本作の主人公たちは、精神的なトラウマや心のクセを抱えており、それが人間関係や恋愛において障壁となっています。

岡田脚本はそれを病気や障害として一面的に描くのではなく、誰もが抱えている“心の不安定さ”として普遍的に提示します。

「わかる」「自分もそうかも」と思わせるような描写が、観る者に安心感と共感を与えます。

セリフと余白の美学

岡田惠和の作品では、「名言」として残るセリフが多い一方で、“語らないこと”の大切さも重視されます。

『匿名の恋人たち』では、心の奥を無理に言葉にしないからこそ、一言がずっしりと重みを持って届くシーンがいくつも存在します。

例えば、ハナが壮亮に見せる小さな微笑みや、壮亮が勇気を出して距離を縮めようとする場面には、説明のいらない“感情の行間”が流れているのです。

この“語りすぎない優しさ”が、脚本面の最大の魅力といえるでしょう。

日韓トップ級の制作陣が集結!国際的な映像美

『匿名の恋人たち』は、日本と韓国のトップクリエイターたちが手を組んで制作された、Netflixオリジナルの日韓合同ドラマです。

日本側の監督・脚本に月川翔×岡田惠和を迎えつつ、韓国スタッフが撮影・美術・編集・音楽面を大きく支えています

特に注目すべきは、『パラサイト 半地下の家族』にも携わった韓国の美術・照明チームの参加です。

照明と色彩による“感情の演出”

本作では、登場人物の心情に合わせて照明のトーンが変化するなど、感情を視覚的に伝える演出が多用されています。

たとえば、ハナの不安を表現するシーンではブルーグレーを基調に、壮亮が心を開き始める場面ではやわらかな暖色が使われています。

このように映像自体が登場人物の内面と呼応する構造は、国際クオリティならではの完成度といえるでしょう。

ロケーションと美術のこだわり

ドラマの舞台は日本で撮影されていますが、「ル・プランタン」などの店舗セットには韓国スタッフが美術設計として関与

日常的な空間でありながら、どこかファンタジックで静謐な雰囲気が漂うのは、日韓スタッフの感性が絶妙に混ざり合った結果といえます。

また、構図やカメラワークも映画のような滑らかさとリズム感があり、1話ごとに映像美をじっくり堪能したくなる作品です。

OSTとの連動演出|『告白』が感情を引き立てる

『匿名の恋人たち』では、物語と音楽が完璧にシンクロするOST(オリジナル・サウンドトラック)の使い方が印象的です。

中でも主題歌『告白』は、韓国の人気ガールズグループLE SSERAFIMのキム・チェウォンが初のソロ歌唱を務めたことで、大きな話題を呼んでいます。

彼女の繊細で透明感のある歌声が、作品の持つ“触れられない恋”というテーマと深く結びついており、感情の余韻をより強く残してくれます。

歌詞とドラマのリンク

『告白』の歌詞には、「好きと言えない」「触れたいけど怖い」という葛藤が描かれており、それはまさに主人公たちの心の声そのもの。

壮亮とハナが少しずつ歩み寄る場面、すれ違う場面、涙を流す場面――そのいずれにも、『告白』の旋律が静かに寄り添います。

視聴者は音楽を通じて、キャラクターの感情にさらに深く共感し、物語世界により強く引き込まれるのです。

サウンド全体の演出効果

主題歌に加えて、劇伴(BGM)もまた非常に洗練されています。

ピアノやストリングスを中心にした楽曲は、感情の揺らぎや不安、そして少しずつ生まれる希望を繊細に彩ります。

この音楽を手掛けたのは韓国の若手作曲家チームで、韓国ドラマらしい情感の深さと、日本の映像美に合った“余白”を融合させたサウンド作りが魅力です。

音楽と映像、セリフのすべてが絶妙なバランスで調和することで、視聴後に残る余韻の深さが何倍にもなる、そんなOST演出が本作の感動を支えています。

まとめ:月川翔と岡田惠和が導いた“触れられない恋”の感動

Netflixドラマ『匿名の恋人たち』は、「触れられない男」と「目を見られない女」の恋という、一見突飛に見える設定の中に、誰もが抱える心の不器用さや優しさが丁寧に描かれたラブストーリーです。

その感動の根底を支えているのが、月川翔監督の詩的で静謐な映像表現と、岡田惠和の心を癒す脚本です。

さらに、韓国の一流制作陣による美術・音楽演出、そしてキム・チェウォンが歌う主題歌『告白』の存在が、作品の深みをいっそう高めています。

日韓の文化・美意識・感情表現が融合した『匿名の恋人たち』は、国境を超えた“心に触れる”新しいラブストーリーとして、多くの視聴者に静かな感動を届けています。

まだ観ていない方にはぜひ、映像・脚本・音楽の三位一体が織りなす、優しく切ない恋の物語をじっくり味わっていただきたい作品です。

この記事のまとめ

  • 月川翔監督の映像美と感情演出が光る
  • 岡田惠和の脚本が“心の不器用さ”を丁寧に描写
  • 日韓合同制作で実現した国際的クオリティ
  • 主題歌『告白』がドラマの感情を深く支える
  • 映像・音楽・脚本の三位一体で感動を届ける作品

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