2025年8月にAmazon Prime Videoで独占配信がスタートした台湾発のオムニバスドラマ『零日攻撃 ZERO DAY』。
中国による台湾侵攻の危機を背景に、全10話それぞれが異なる登場人物・視点・テーマで構成される本作は、単なる戦争ドラマを超えた深い人間ドラマとして話題を集めています。
この記事では、各話のあらすじと見どころ、そしてなぜ『零日攻撃』が今見るべき作品なのかを詳しくご紹介します。
- 『零日攻撃 ZERO DAY』全10話の構成とあらすじ
- 各話で描かれるテーマとキャラクターの背景
- 現代社会とリンクする“情報戦”のリアルな描写
『零日攻撃 ZERO DAY』は全10話のオムニバス構成
『零日攻撃 ZERO DAY』は、2025年8月にAmazon Prime Videoで配信が開始された台湾発のオムニバスドラマです。
全10話それぞれが異なる物語として展開しつつも、「戦争前夜の台湾」を共通の舞台として描く構成になっています。
ブラックミラー型のアンソロジー形式を採用しており、各話完結でありながら、全体を通して一貫したメッセージが込められています。
1話ごとに主人公とテーマが変わる新しいドラマ体験
このドラマの最大の特徴は、1話ごとに異なる主人公、職業、状況が描かれることです。
政府関係者、報道キャスター、スパイ、ハッカー、外交官、そして一般市民まで、さまざまな立場の人物を通じて、「戦争が始まる前に人々が何を思い、どう行動するのか」がリアルに描かれます。
視聴者はまるで自分がその状況に置かれたような臨場感を味わえる構成となっており、1話ごとに視点が変わることで、戦争の多面性や複雑さが浮き彫りになります。
現代社会の分断・情報戦・メディアリテラシーを描く
『零日攻撃』は、単にフィクションとしての戦争を描くだけでなく、現代社会が抱えるリアルな問題を鋭く描いています。
たとえば、SNSでのフェイクニュースの拡散、メディアによる情報統制、若者の経済的不安定、外交交渉の裏側など、実際に起こりうる「戦争前夜の社会構造」を浮き彫りにしています。
そのため、単なるエンタメ作品としてではなく、「もし自分がこの状況に置かれたらどうするか?」を問いかける、社会派ドラマとしての側面が強いのも特徴です。
なお、各エピソードは独立しているため、どこから観ても楽しめる構成になっています。
しかし、全10話を通して視聴することで、“零日=戦争開始のXデー”に向けた社会の変化が浮かび上がり、より深い理解と衝撃が得られる構成となっています。
単話での視聴も可能ですが、通して観ることで初めて完成する“体験型の物語”としてもおすすめです。
各話あらすじとテーマの簡単な紹介
『零日攻撃 ZERO DAY』は全10話構成で、それぞれのエピソードが独立した物語を持ちながら、“台湾有事”という共通テーマでつながっています。
ここでは、前半(第1〜5話)と後半(第6〜10話)に分けて、それぞれのあらすじとテーマを簡潔にご紹介します。
どの話からでも視聴可能なオムニバス形式ですが、全体を通して視聴することで一層の深みが味わえます。
第1話~第5話:台湾国内の葛藤と心理戦
前半の5話では、戦争が始まる「前夜」の台湾社会の断面を切り取っています。
- 第1話:爆破事件の容疑者となった元政府関係者が、沈黙するか真実を話すかの決断を迫られる。
- 第2話:若者が詐欺組織からスパイに転落していく様子を通じて、貧困と洗脳の現実を描く。
- 第3話:報道番組のキャスターと企業幹部による“言論戦”。高橋一生と水川あさみが出演。
- 第4話:人気配信者がAI恋人と交流する中でフェイクニュースの拡散者になっていく。
- 第5話:和平交渉の密使が暗殺され、戦争回避の希望が消える瞬間を国家安全局の視点で描写。
このパートでは、国家ではなく“個人”の苦悩を強く描いており、視聴者は感情的に引き込まれる構成になっています。
第6話~第10話:外交と戦争の臨界点を描く後半戦
後半は「いよいよ開戦か」という緊張が高まり、台湾だけでなく中国・アメリカ・日本を巻き込む国際的な局面へと発展していきます。
- 第6話:海軍の艦長が発射命令に従うか否かのジレンマに直面。
- 第7話:AIによって動かされるドローン戦と、それを管理するオペレーターの葛藤。
- 第8話:外交官が最後の和平交渉に挑むが、裏切りと駆け引きが交錯する。
- 第9話:家族と避難する市民の視点から、戦争の恐怖と混乱を描く。
- 第10話:「零日」が到来。最終話は全ての伏線が交差し、“その日”を迎える。
後半では、戦争という国家レベルの選択が、どのように個人に影響するかが描かれ、作品全体のメッセージが明確になります。
サスペンス、スパイ、家族ドラマ、政治スリラーなどジャンルを横断した構成が飽きさせない魅力となっています。
見どころ①:アジア各国の実力派キャストが集結
『零日攻撃 ZERO DAY』の大きな魅力の一つは、台湾・日本・中国・香港などアジア各国の実力派俳優が勢揃いしていることです。
この作品は単なる“戦争ドラマ”ではなく、アジア各国の視点から「戦争とは何か?」を多角的に描いた重厚な人間ドラマとなっており、そのリアリティを支えているのがキャスト陣の演技力です。
1話ごとに異なる俳優が主演を務める構成により、多様な演技が楽しめるのも大きな特徴です。
高橋一生、水川あさみ、チャップマン・トウらが熱演
日本からは高橋一生と水川あさみが第3話「ON AIR」に出演。
情報操作と報道の自由を巡る攻防をテーマにしたこの回では、二人の静かで重厚な演技が高く評価されています。
また、第1話で主演を務めるのは、香港映画などでも活躍するチャップマン・トウ。
彼の演じる元政府関係者は、過去の秘密と現在の爆破事件との関連が鍵となる重要なキャラクターです。
台湾俳優たちの演技がリアルな緊張感を演出
本作は台湾が舞台であるため、台湾出身の俳優たちが多く起用されています。
特に、若者のスパイ化を描く第2話では連俞涵(リエン・ユーハン)が、SNS心理戦を描く第4話では楊大正(ヤン・ダージェン)がそれぞれ主演を務め、現代の若者が直面する葛藤や不安をリアルに体現しています。
さらに、第5話で国家安全局の捜査官を演じる石知田(シー・チーティエン)は、陰謀と暗殺を追う中で“国家の矛盾”に直面する若者像を見事に演じ切っています。
こうしたキャスティングは単なる話題性ではなく、「この役を演じるべき俳優」に焦点を当てた巧みな人選によるものです。
演出だけでなくキャストの表情や沈黙、台詞の間などからも物語が伝わる点は、本作ならではの高い芸術性を物語っています。
見どころ②:情報が武器になる“現代の戦争”を描く
『零日攻撃 ZERO DAY』が他の戦争ドラマと大きく異なるのは、「銃やミサイルではなく、情報が主戦場となる現代の戦争」を描いている点です。
舞台となるのは“開戦前夜”の台湾。
そこでは既に、戦争は始まっていると言わんばかりに、フェイクニュース、SNSによる世論操作、AI兵器の誤作動、メディア統制といった“目に見えない攻撃”が日常に浸透しています。
メディア、SNS、AI、外交…分断のリアルが詰まった作品
第3話では、報道番組の裏側で情報のねつ造や圧力、リーク、政府介入などが描かれ、メディアの役割が鋭く問われます。
第4話では、人気インフルエンサーがAI恋人に感化されながらフェイク情報を拡散する様子が描かれ、SNSと感情の結びつきが社会をいかに左右するかがリアルに伝わってきます。
また、第7話ではドローンとAIが武器として使われ、その判断を委ねられる人間の心理的プレッシャーがリアルに描写されます。
フェイクニュースと真実の境界を問う哲学的問い
本作では、情報を信じる側と、発信する側、そして操作する側の視点が交差します。
「真実とは何か?」「信じるとはどういうことか?」といった哲学的な問いが各話に散りばめられており、視聴者に深い思考を促します。
特に、最終話に向けて“本当に戦争は避けられなかったのか?”という根源的な疑問が浮かび上がり、単なるフィクションでは片付けられない重みがあります。
これらのエピソードを通して、『零日攻撃』は「戦争はいつ始まったのか」ではなく「いつから始まっていたのか」という新しい視点を提示しています。
現代社会に生きる私たちにとって、まさに“今そこにある危機”として描かれるこのドラマは、エンターテインメントの枠を超えた社会的意義を持った作品です。
見どころ③:インタビューから見える俳優の本音と意図
『零日攻撃 ZERO DAY』では、出演した俳優たちのインタビューからも、作品への深い理解とこだわりが伝わってきます。
演じるだけではなく、現実の社会問題と向き合いながら演技に落とし込んでいる姿勢が、ドラマ全体のリアリティを支えています。
ここでは、実際に公開されたインタビューの中から、特に印象深いコメントを抜粋してご紹介します。
連俞涵が語る「報道の意味」とAIとの違い
第2話「ショーザイ」で若者のスパイ化を演じた連俞涵(リエン・ユーハン)は、CINRAのインタビューで次のように語っています。
「人は、情報が自分に都合のいいものであってほしいと願ってしまう。でも、真実ってそういうものじゃない。だから役を通して、“自分が信じたいもの”と“現実”の狭間を考え続けていた。」
このコメントからもわかるように、単なる役の表現ではなく、現代の情報環境に対する鋭い問題意識が反映されていることがわかります。
楊大正が明かす「現代の板挟み」を演じる難しさ
第4話「心理操作」に出演した楊大正(ヤン・ダージェン)は、人気インフルエンサーという役柄を通じて、SNSと感情の関係を描きました。
「見てほしいから発信する。でも、発信したことが誰かを傷つける。正しいと思っても、それが正義とは限らない。そういう“グレーゾーン”を演じるのが一番難しかったし、一番リアルだった。」
この言葉が示すのは、「正しさ」と「共感」のあいだで揺れる現代人の複雑な心理です。
それを演じることで、視聴者にも同じ葛藤を突きつける構造になっているのが、このドラマの見事なところです。
俳優たちの言葉は、作品のテーマや構成と密接にリンクしており、演技の背景にある“考え抜かれた意図”を感じ取ることができます。
インタビューを通して視聴すると、同じシーンでも受け取る意味がまったく変わって見えるでしょう。
『零日攻撃 ZERO DAY』を観る前に知っておきたいこと
『零日攻撃 ZERO DAY』は、事前に少しだけ知識を入れておくことで、より深く楽しめる作品です。
タイトルの印象や話題性から混乱しやすいポイント、視聴に関する注意点をここで整理しておきましょう。
これから視聴を始める人にも、すでに視聴中の人にも役立つ情報です。
Netflixの『Zero Day』とは別作品
『零日攻撃 ZERO DAY』と検索すると、よく出てくるのがロバート・デ・ニーロ主演のNetflixドラマ『Zero Day』です。
こちらはアメリカ制作のスリラー作品で、台湾発の『零日攻撃 ZERO DAY』とは一切関係がありません。
両作品とも政治やサイバー戦をテーマにしていますが、内容・舞台・キャストは全くの別物なので混同に注意が必要です。
Amazon Prime会員なら全話無料で視聴可能
『零日攻撃 ZERO DAY』はAmazon Prime Videoで独占配信中です。
現在は第1話〜第10話まで全話が配信されており、プライム会員であれば追加料金なしで視聴できます。
30日間の無料体験でも全話視聴が可能なので、まだ会員でない方も気軽に試すことができます。
また、各話は約50分前後で構成されているため、1話ずつじっくり観るスタイルにも、週末に一気見するスタイルにも最適です。
字幕・吹替も完備されているため、言語面でのハードルも低く、幅広い視聴者に対応しています。
視聴前にこれらの情報を把握しておくことで、ドラマの世界によりスムーズに没入できるでしょう。
まとめ|『零日攻撃』は“今”を映す社会派ドラマ
『零日攻撃 ZERO DAY』は、単なる戦争ドラマではありません。
情報・感情・政治・AI・報道といった現代社会が抱えるリアルなテーマを10話にわたり多角的に描く、稀有な社会派オムニバス作品です。
それぞれのエピソードが、戦争の“その日=ZERO DAY”に至るまでの人間の選択と葛藤をリアルに浮き彫りにしています。
また、アジア各国の実力派キャストが国境を越えて集結していることも、本作の大きな特徴。
高橋一生や水川あさみをはじめ、台湾・香港・中国の俳優たちが織り成す重厚な演技は、作品のテーマ性にさらなる深みを与えています。
そして、インタビューで語られる俳優たちの本音からは、「演じる」という行為そのものに社会的意味を持たせている意図が感じ取れます。
私たちが日々向き合う情報、感情、判断、そして選択。
それらすべてが「戦争を避ける」または「招く」ものになりうるという現実を、『零日攻撃』は静かに、しかし鋭く突きつけてきます。
このドラマは、まさに“今、この世界を生きる私たち”のために作られたと言えるでしょう。
- 『零日攻撃 ZERO DAY』は全10話のオムニバス構成
- 各話で異なる主人公と社会テーマを描く
- 高橋一生・水川あさみなど日台の豪華俳優が出演
- フェイクニュースやAI戦争など現代的テーマが多数
- Netflixの同名作品とは別の台湾オリジナル作品
- Amazonプライム会員なら全話無料で視聴可能
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